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福岡高等裁判所 昭和45年(ネ)376号 判決 1979年4月25日

第一審原告(第三七六号事件控訴人 第四〇九号事件被控訴人) 第一倉庫株式会社

右代表者代表取締役 高橋春治

同 三和倉庫株式会社

右代表者代表取締役 野下定見

右両名訴訟代理人弁護士 三原道也

第一審被告(第三七六号事件被控訴人 第四〇九号事件控訴人) 株式会社井上銅鉄商

右代表者代表取締役 井上増巳

右訴訟代理人弁護士 松村

同 和智竜一

同 徳永弘志

主文

一、第一審原告らの控訴に基づき原判決を次のとおり変更する。

1. 第一審被告は、第一審原告第一倉庫に対し、

(一)  一号銅線屑五・四六五トンを引渡せ。

(二)  右一号銅線屑の引渡ができないときは、金三一一万五〇五〇円及びこれに対する履行不能の日の翌日から支払いずみまで年六分の割合による金員を支払え。

(三)  金二九二万三七七五円に対する昭和四一年四月一二日から(一)の一号銅線屑の引渡ずみ、もしくは(二)の金員の支払ずみまで年六分の割合による金員を支払え。

2. 第一審被告は、第一審原告三和倉庫に対し、

(一)  一号銅線屑一・六六トンを引渡せ。

(二)  右一号銅線屑の引渡ができないときは、金九四万六二〇〇円及びこれに対する履行不能の日の翌日から支払済まで年六分の割合による金員を支払え。

(三)  金八八万八一〇〇円に対する昭和四一年四月一二日から(一)の一号銅線屑の引渡ずみ、もしくは(二)の金員の支払ずみまで年六分の割合による金員を支払え。

3. 第一審原告らのその余の請求(当審における新たな請求を含む)を棄却する。

二、第一審被告の本件控訴を棄却する。

三、訴訟費用は第一、二審を通じ第一審原告第一倉庫株式会社と第一審被告との間に生じたものはこれを九分し、その八を同第一審原告の、その余を第一審被告の各負担とし、第一審原告三和倉庫株式会社と第一審被告との間に生じたものはこれを三〇分し、その二九を同第一審原告の、その余を第一審被告の各負担とする。

四、この判決は第一審原告ら勝訴部分に限り仮に執行することができる。

事実

第一、当事者が求めた裁判

一、第一審原告ら

1. 第三七六号事件について

(一)  原判決中第一審原告ら敗訴部分を取消す。

(二)  第一審被告は、第一審原告第一倉庫株式会社に対し、

(1) 金二九二万三七七五円に対する昭和四一年四月一二日から一号銅線屑五・四六五トンの引渡済みまで年六分の割合による金員

(2) 金一〇七四万六一八一円及びこれに対する前同日から支払済みまで年六分の割合による金員

(3) 金四五一万九〇九六円及びこれに対する前同日から支払済みまで年六分の割合による金員

(4) 金七〇万円に対する昭和四五年八月六日から福岡法務局久留米支局昭和四〇年度金九七七号供託金七〇万円の払戻を受けることができる日の前日まで年八分九厘の割合による金員

を支払え。

(三)  第一審被告は、第一審原告三和倉庫株式会社に対し

(1) 金八八万八一〇〇円に対する昭和四一年四月一二日から一号銅線屑一・六六トンの引渡済みまで年六分の割合による金員

(2) 金三三三万六〇〇〇円及びこれに対する前同日から支払済みまで年六分の割合による金員

(3) 金一一五四万七五九二円及びこれに対する前同日から支払済みまで年六分の割合による金員

(4) 金二三〇万円に対する昭和四五年八月六日から福岡法務局久留米支局昭和四〇年度金九七六号供託金二三〇万円の取戻ができる日の前日まで年九分の割合による金員

を支払え。

(四)  訴訟費用は第一、二審とも第一審被告の負担とする。

(五)  仮執行宣言

2. 第四〇九号事件について

本件控訴を棄却する。

二、第一審被告

1. 第三七六号事件について

本件控訴及び当審における新請求を棄却する。

2. 第四〇九号事件について

(一)  原判決中第一審被告敗訴部分を取消す。

(二)  第一審原告らの請求を棄却する。

(三)  訴訟費用は第一、二審とも第一審原告らの負担とする。

第二、当事者の主張

(第一審原告らの請求原因)

一、当事者

第一審原告第一倉庫株式会社(以下「第一倉庫」という)、同三和倉庫株式会社(以下「三和倉庫」という)は、いずれも倉庫業、金融業等を目的とする会社であり、第一審被告株式会社井上銅鉄商(以下「井上銅鉄商」という)は、銅、鉄類の販売業、計量証明の事業等を目的とする会社である。

二、寄託物返還請求について

1. 第一倉庫は、昭和四〇年一二月一七日から昭和四一年一月一八日までの間に、井上銅鉄商に対し合計五・四六五トンの一号銅線屑(以下「銅屑」という)を寄託し、三和倉庫は、昭和四一年一月一八日同じく一・六六トンを寄託した。

よって本訴においてそれぞれその返還を請求する。

2. 仮に右銅屑の引渡ができないときは、その時価はトン当り五七万円であるから、それぞれ右割合による金員及びこれに対する履行不能の日の翌日から支払済みまで商事法定利率年六分の割合による金員の支払を求める。

3. 第一審原告らは、右銅屑を後記のような事情のもとに清田進らに対する貸金の担保として、債務不履行の場合には直ちに所有権が移転する旨の代物弁済予約契約に基づき右清田から受領し、これを井上銅鉄商に寄託していたものであるが、清田らは本件訴提起前に弁済期を徒過したから、第一審原告らはそれぞれその所有権を取得した。

第一審原告らは、井上銅鉄商から本件銅屑の引渡を受け、他に売却して貸金の弁済に充当する予定であったのであり、井上銅鉄商も右事情を知っていたのであるが、第一審原告らが昭和四一年四月一一日本件訴状送達によりその返還を請求したにもかかわらずその引渡を遅延している。もし速やかに返還を受けていればトン当り五三万五〇〇〇円(昭和四一年四月一三日島田商店に売却した価格)でこれを売却しえたのであるから、井上銅鉄商の銅屑引渡遅延により、第一倉庫は二九二万三七七五円、三和倉庫は八八万八一〇〇円を取得することができなかったことになる。

よって右各金額に対する昭和四一年四月一二日以降右銅屑引渡済みまで年六分の割合による金員の支払を求める。

三、損害賠償請求について

1. 第一倉庫は、別表一の「借主」欄記載の借主に対し、同「貸付年月日」欄記載の日に同「貸付金額」欄記載の金額を貸渡し、清田進から同人所有の同「担保物件」欄記載の重量の銅屑を、井上銅鉄商の計量を経たうえ代物弁済予約契約に基づいて受領し、同表1の担保物件は三和倉庫に、同表3ないし6の担保物件は井上銅鉄商にそれぞれ寄託した。

三和倉庫は、清田に対し同じく別表二記載のとおり貸付して担保物件を受領し、同表5の担保物件を井上銅鉄商に寄託した。

右各貸付金の弁済期は数回延期されたうえ最終的に昭和四一年二月一五日と合意されたが、右債務者らはいずれもこれを徒過し、回収の見込みはない。

2. 前記のとおり、第一倉庫の清田、川上に対する貸付金の総額は一八八八万九九四〇円であり、井上銅鉄商が計量をして検量票に記載した銅屑の量は、井上銅鉄商に寄託した分三二・八六トン、三和倉庫に寄託した分一八・三三三トン、合計五一・一九三トンであった。しかるに現実に井上銅鉄商が保管していたのは五・四六五トン、三和倉庫のそれは四・五二四トン、計九・九八九トンにすぎず、それぞれ二七・三九五トン、一三・八〇九トン不足していた。

第一倉庫は、井上銅鉄商に寄託した分についてはトン当り平均三九万二二六八円の割合、三和倉庫に寄託した分については同じく三二万七二七九円の割合で貸付をしたから、右金額で計算すると井上銅鉄商に寄託した分については一〇七四万六一八一円、三和倉庫に寄託した分については四五一万九〇九六円(ただし、計数上四五一万九三九六円が正しい。)分の担保物件を取得できなかったことになり、同額の損害をこうむった。

3. 同じく三和倉庫の貸付金残額は一九三三万〇三〇〇円であり、検量票記載の銅屑の量は、井上銅鉄商に寄託した分一〇トン、自ら保管する分五二・〇三七トン、合計六二・〇三七トンであった。しかるに現実に井上銅鉄商が保管していたのは一・六六トン、自ら保管していたのは一二・八四トン、計一四・五トンにすぎず、それぞれ八・三四トン、三九・一九七トン不足していた。

三和倉庫は、井上銅鉄商に寄託した分についてはトン当り平均四〇万円、自ら保管する分については同じく二九万四六〇四円の割合で貸付をしたから、右金額で計算すると井上銅鉄商に寄託した分については三三三万六〇〇〇円、自ら保管する分については一一五四万七五九二円分の担保物件を取得できなかったことになり、同額の損害をこうむった。

4. かように、現実に存在する量をはるかにこえる量の銅屑を受領したかのように検量票に記載されたのは、次のような事情による。

一般に銅屑等の計量をするときは、トラックに積んだまま全重量を計量し、その重量から荷をおろした後の空車の重量を差引いて正味の量を算出する方法がとられているのであるが、清田は、井上銅鉄商に本件銅屑を搬入する際、あらかじめ一味の者を計量器本体と計量板との間の地下溝内に潜入待機させておき、井上銅鉄商側で計量前の零点調整をした後にこれに合図を送り、銅屑を積載したトラックが計量板上に乗る頃をみはからって約二〇キログラムの錘を右地下溝内を通っている連結杆にかけ、計量器本体に実量を大きく上回る誤指示値を表示させ、銅屑をおろしたあとの空車の計量をする前に右錘をとりはずすという方法をとったため、井上銅鉄商が右誤指示値から空車の重量を差引いた量を検量票に記載したからである。

5. ところで、井上銅鉄商は、先代から銅鉄商を営み、三〇数年の経験を有し、会社、官公庁の古銅鉄の入札業者でもある。また、自社買入分だけでなく、県知事の登録を受けて有料で貨物の計量をし、計量証明である検量票の作成、発行を業とするものであるから、正確な計量をし、正しい検量票の発行をなすべき業務上の注意義務がある。そのために、福岡県計量検定所は県内の計量業者に計量についての注意義務につき行政指導をしているのである。しかるに井上銅鉄商は、後記のとおり右注意義務に反して清田らの行為を防止せず、これを看過、助長した。

(一) 計量証明事業者は、計量証明の事業を適確に遂行するにたる物的、人的設備をすることが要求されているものと解すべきところ、本件計量器は国道三号線沿いに設置されているにもかかわらず門扉、外柵もなく、誰でも自由に出入りできる状態のまま放置され、地下溝出入口の鉄製蓋にも施錠していなかった。その他不法行為に対する防禦方法は全く構じられていなかったし、計量に際し不正行為がなされることのないよう看視した事実もない。

(二) 清田らの前記行為は、業者間においては計量物の重量を水増しする手段としてはごく普通の方法として知られており、福岡市の山本検量所、熊本市の西生商店、大分市の島田商店等においては一、二回目に発見して被害を免れている。本件においても計量の都度反覆して零点調整を行っていれば十分防止することができたのに、井上銅鉄商は計量杆の分銅を計量した位置にあふり止めで固定して量目を記録し、次の空車の計量の際は車が計量板上に乗ったのちにあふり止めをはずし、その位置から分銅を動かしていき計量するという方法をとっていたため発見がおくれ、かえって右行為を助長した。なお別表一の1、同二の3の取引の際に、清田が持込んだトラック三台分の銅屑のうち一台分の計量を終えたところへ他の空車が割込み、計量器が一〇トンを表示したのに、井上銅鉄商は「この車は二トンしかない筈であるのにおかしい」と言いながら、計量しなおしたとき三トンを表示したのでそのまま放置したことがあった。これは、清田の一味のものが錘をはずすのがおくれたための誤表示と思われるが、このとき零点調整を行い地下溝を点検していれば、清田らの行為を発見できた筈である。

(三) 井上銅鉄商は、本件取引以前にも昭和四〇年九月一一日九・九四トン、同月一四日九・二トンの銅屑を清田から受入れていたところ、清田は同月二八日一・八トン、一〇月八日二・七七五トンの銅屑を引取ったことがあった。また、本件別表二の1の取引の際、清田は三一・九五トンを持込み、井上銅鉄商において計量のうえ三和倉庫が保管していたところ、清田は一〇月九日うち二・三トンを井上銅鉄商で計量して引取った。右持込量と引取量とを比較すれば、業者としておおよその量の見当がつく筈であるし、不正を発見することができた筈である。さらに、昭和四〇年一二月一七日以降は、第一審原告ら及び井上銅鉄商の担保銅屑は、井上銅鉄商の敷地内に一括して野積みされていたが、総重量八七・一九トンあるべきものが実際には一四・四七三トンで僅かに一六・六パーセント(不足量が七二・七一六トンで八三・四パーセントにあたる)の量しか存在しなかったのであるから、計量と目測で早期に不正を発見しえた筈である。

(四) 別表一の6、同二の5の取引の際、井上銅鉄商は、四国地方における計量器不正操作による銅屑の水増し事件の新聞報道を知って、清田に対し本件銅屑は間違いないかということを尋ねているが、このときもなお計量器の地下溝を点検しようとはしなかった。翌一九日に至り、はじめてこれを点検し、足跡と、使用した錘を発見して清田らの行為を確認したのであるから、前日に点検していれば少くとも右取引による損害は受けなくてすんだ筈である。

6. 第一審原告らは、本件各貸付をするにあたり、清田から担保として受取るべき銅屑の計量を、それぞれ清田と共同して井上銅鉄商に依頼し、井上銅鉄商はこれを承諾した。仮に井上銅鉄商、清田間の契約であったとしても第一審原告らの利益のためになされたもので、第一審原告らはその頃受益の意思表示をした。

しかるに井上銅鉄商は前記の過失により欠陥ある検量票を作成、発行し、そのために第一審原告らは損害をこうむったのであるから、不完全履行であり、かつ積極的債権侵害に該当する。よって第一審原告らは債務不履行もしくは不法行為に基づく損害賠償として、前記各金額と本件訴状送達の日の翌日から支払ずみまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求める。

なお、検量票は、専門家が営業として作成した無形的製造物であるから、その瑕疵に対しては無過失責任、少くともこれに近い責任を負うべきである。

四、当審における新請求について

1. 第一審原告らは、昭和四一年三月一八日福岡地方裁判所久留米支部昭和四一年(ヨ)第二〇号有体動産仮差押命令申請事件の保証金として、第一倉庫は七〇万円、三和倉庫は二三〇万円をそれぞれ福岡法務局久留米支局に供託した(昭和四〇年度金九七六号、九七七号)。

2. 第一審原告らは、昭和四五年五月二六日右仮差押命令申請を取下げ、同年六月六日担保取消決定申立をしたが、井上銅鉄商が権利行使をしたため右決定はなされず、第一審原告らは右供託金の取戻をすることができなかった。

3. 第一審原告らは、それぞれその事業の運転資金として第一倉庫は年平均八・九パーセント、三和倉庫は同じく九パーセント以上の利率で銀行等から融資を受けているのであるが、右供託金も借入金でまかなわれた。

4. よって井上銅鉄商が右担保取消決定申立に対して権利行使をし、第一審原告らが供託金を取戻すことができなくなったことによる損害は、第一倉庫については七〇万円に対する担保取消決定申立の日から二か月後である昭和四五年八月七日から右供託金を取戻すことができる日の前日まで年八分九厘の割合による金員、三和倉庫については二三〇万円に対する同じく年九分の割合による金員に相当する額である。

よって右各金員を不法行為による損害賠償として請求する。

(第一審被告の答弁)

一、請求原因一、同二の1、2、同三の4、同四の1、2記載の事実は認める(但し、四の2記載の仮差押命令申請取下の日は昭和四五年六月六日である。)が、その余の事実はすべて争う。

二、本件計量に誤差が生じたのは清田らの不法行為によるものであって、井上銅鉄商の計量に過失はない。井上銅鉄商は、本件までにかような詐術にかかったことはなかったし、このような行為を防止するよう行政指導を受けたこともない。他人の犯罪行為を予見することは不可能であるから、これを防止するための措置をとる注意義務はなく、久留米市内の全業者をみてもそのような防禦策をとっているところはない。本件当時、計量証明事業者のうち福島県の三菱金属鉱山小名浜製練所、香川県の三菱金属鉱業直島製練所外三〇数か所が計量器不正操作による被害を受けているのであって、井上銅鉄商だけがその過失を問われるいわれはない。井上銅鉄商は、本件各計量に際し先ず計量器の零点調整をしたから、一件の計量のなかでさらに反覆してこれを行う義務はないし、仮に空車を計量するときあらためて零点調整をしたとしてもそのとき清田の一味の者が錘をはずしていれば発見できないのであるから、この点からも過失があるとはいえない。また、井上銅鉄商は小規模な業者で取扱う銅、鉄類の量、種類も多くはなく、今回のような大量の銅屑を扱ったことはなかったから、目測で量目不足を判断することは不可能である。

(第一審被告の抗弁)

一、井上銅鉄商は、昭和四〇年九月一一日から同四一年一月一八日までの間に一〇回にわたり第一倉庫に対し別表三記載のとおり合計四二八九万六六八〇円(四九三二万一五六〇円から利息、倉庫料、保険料等を控除)を貸付けた。本件銅屑は、右貸付金の担保として受取った物(質権設定)であるから、第一倉庫が右債務の弁済をするまでこれを留置する。

仮に右貸付の債務者が清田であるとしても、井上銅鉄商は第一倉庫の依頼により第一倉庫のために右金員を立替えたもので第一倉庫に対して立替金債権を有するから、右債務の弁済があるまでこれを留置する。

また債務者が清田であり、かつ本件銅屑が右債務の担保に供されたものでないとしても、井上銅鉄商の第一倉庫に対する立替金返還請求権及び第一倉庫の井上銅鉄商に対する寄託物返還請求権はともに商行為によって生じたものであるから、右立替金の弁済があるまで本件銅屑について商事留置権を主張する。

二、井上銅鉄商が第一倉庫に対し別表三の6の貸付(弁済期昭和四一年一月一〇日、利息日歩九銭)をした際、三和倉庫は担保として同社が所有し占有する銅屑五二・〇三七トンを井上銅鉄商に対し信託的に譲渡し、爾後井上銅鉄商のために保管することを約した。第一倉庫は右債務の弁済期を徒過したので、井上銅鉄商は三和倉庫に対し担保権実行のため右貸付金一五〇〇万円に相当する銅屑三〇トン(トン当り時価五〇万円)の引渡を請求することができる。井上銅鉄商の三和倉庫に対する右担保物件引渡請求権及び三和倉庫の井上銅鉄商に対する寄託物返還請求権は、ともに商行為によって生じたものであるから、右担保物件の引渡があるまで本件銅屑について商事留置権を主張する。

仮に右一五〇〇万円の借主が清田であったとしても、三和倉庫は清田のため井上銅鉄商との間で前記信託的譲渡契約をしたから、同じく商事留置権を主張する。

(第一審被告の抗弁に対する第一審原告らの答弁)

抗弁事実は争う。

第三、証拠関係<省略>

理由

一、当事者について

第一審原告らがいずれも倉庫業、金融業等を営む会社であり、井上銅鉄商が銅鉄類の販売業、計量証明の事業を営む会社であることは当事者間に争いがない。

二、寄託物返還請求について

1. 第一倉庫は、昭和四〇年一二月一七日から昭和四一年一月一八日までの間に井上銅鉄商に対し合計五・四六五トンの銅屑を寄託し、三和倉庫は昭和四一年一月一八日同じく一・六六トンを寄託したことは当事者間に争いがなく、第一審原告らが本件訴状の送達によりその返還請求をしたことは訴訟上明らかであるから、井上銅鉄商は、第一審原告らに対し、それぞれ右銅屑の返還をなすべき義務がある。

2. よって、以下井上銅鉄商の抗弁について検討する。

(一)  第一倉庫に対する抗弁について

(1)  井上銅鉄商は、昭和四〇年九月一一日から同四一年一月一八日までの間に一〇回にわたり第一倉庫に対し別表三記載のとおり合計四二八九万六六八〇円を貸付け、本件銅屑に質権を設定したと主張し、原本の存在及び<証拠>にはこれにそう部分があるが、右供述部分は、<証拠>と照らし措信しがたく、他にこれを認めるにたりる証拠はない。なお<証拠>には第一倉庫が井上銅鉄商から利息を受領した旨の記載があるが、右は後記のとおり井上銅鉄商と清田らとの取引の名義料として受領したものであることが認められるから、同号証の存在によっても右貸付の事実を認めるにたりない(かえって、このような多額の貸付に際し、金銭消費貸借契約書等これを明示する書証が存在しないことは、右貸付の事実はないことをうかがわせるものである。)。

よって井上銅鉄商の右抗弁は理由がない。

(2)  次に、井上銅鉄商は、右貸付金の債務者が清田進であるとしても、第一倉庫の依頼により第一倉庫のために右金員を立替えたものであると主張するので検討すると、<証拠>には、別表三記載の各貸付は、いずれも債務者清田進、債権者第一倉庫との間でなされた旨の記載があり、同じく<証拠>によれば、井上銅鉄商は帳簿上別表三記載の各支出を第一倉庫への立替金として処理していることが認められるほか、成立に争いない乙第一号証担保預り契約書には、右各貸付のうち1の取引について第一倉庫が井上銅鉄商に対し「銅屑九・九四トンを担保として預け、二四八万五〇〇〇円を利息日歩九銭、延利一五銭と定めて立替を依頼した」旨の文言があり、同2、3の取引についてこれに追加する旨の記載がある。

しかしながら、右乙第一号証の文面は、全体としてその趣旨が明らかではないうえ、弁論の全趣旨によれば前記乙第二ないし第六号証の各一、二、同第七号証の一、同第八ないし第一一号証の各一、二は井上銅鉄商が所持しているものであること、及び別表三の4ないし10の取引についてはこのような書面は作成されていないことが認められるから、これに前項掲記の甲号各証(第三二号証の一ないし一三以下第七〇号証の一ないし三まで)には右立替を受けた旨の記載がみられないこと、同じく乙第二九号証、同第三一号証によれば、井上銅鉄商は、右1及び3の取引について契約書等に貼用する収入印紙代を第一倉庫が立替えてあったのを返還したことが認められることをあわせ考えると、前記各証拠をもってしてはいまだ第一倉庫が井上銅鉄商から本件金員の立替を受けたことを認めるにたりない。かえって前掲甲第一〇三、一〇四、一〇七号証の各二の各供述記載及び高橋春治尋問の結果によれば、井上銅鉄商は清田に対し本件貸付をするについて金融業の届出をしていなかったところから第一倉庫に対し名義料を支払ってその名義を借用することを申入れ、第一倉庫が金銭の貸付を行うときに使用する契約書等を使い第一倉庫名義で貸付をすることになったが、そのような形をとると書面上第一倉庫が債権者として表示されるため、井上銅鉄商が真実の権利者であることを示すための書面として井上銅鉄商の代表者である井上増巳の妹婿である津島才次が起案したとおりの文面で乙第一号証が作成されたことが認められるのであって、第一倉庫が井上銅鉄商に対し立替金債務を負担しているものとは認め難い。

よって井上銅鉄商の右抗弁は理由がない。

(3)  井上銅鉄商が第一倉庫に対し立替金返還請求権を有するものとは認めえないことは前記のとおりであるから、これを前提とする商事留置権の抗弁もまた理由がない。

(二)  三和倉庫に対する抗弁について

別表三の6の取引の債務者は第一倉庫ではなく清田進であることは前判示のとおりであるところ、井上銅鉄商は、右貸付に際し、三和倉庫から同社が清田のため自ら担保として保管中の銅屑五二・〇三七トンの信託的譲渡を受けたから、清田の弁済期徒過により担保権実行のため右一五〇〇万円に相当する銅屑三〇トンの引渡請求権があると主張する。

しかしながら、<証拠>を総合しても昭和四〇年一二月六日、清田と第一審原告ら及び第一審被告との間で、従来トン当り二五万円の割合で貸付がなされていたが銅屑が値上りしているところからトン当り四〇万円として差額を貸増しすることを合意し、第一倉庫は別表一の2、三和倉庫は別表二の4、井上銅鉄商は別表三の6の各貸付をしたこと、及びその際井上銅鉄商の申出により三和倉庫が担保として保管している銅屑についても右井上銅鉄商の債権の担保にすることを合意したことが認められるにとどまり、井上銅鉄商は右銅屑について三和倉庫の後順位の担保権を主張しうることはあっても、それ以上に右一五〇〇万円に相当する担保物件の引渡請求権を有するものと解することはできない(右担保権の順位についての甲第五二号証の認定は採用しない。)。

よって三和倉庫に対し銅屑三〇トンの引渡請求権を有することを前提とする井上銅鉄商の抗弁は理由がない。

3. 以上の次第で井上銅鉄商の抗弁はすべて理由がないから、井上銅鉄商に対し銅屑五・四六五トンの引渡を求める第一倉庫の本訴請求、同じく一・六六トンの引渡を求める三和倉庫の本訴請求はいずれも正当としてこれを認容すべきである。

しかして右銅屑の時価がトン当り五七万円であることは当事者間に争いがないから、井上銅鉄商は、右銅屑の引渡ができないときは、右割合による各金員とこれに対する履行不能の日の翌日から支払済まで商事法定利率年六分の割合による金員を各第一審原告らに支払うべき義務があり、この点についての第一審原告らの本訴請求も理由がある。

4. 次に、第一審原告らは、井上銅鉄商が本件銅屑の引渡を遅滞したことにより、履行期における時価相当額を取得することができなかったから、右金額に対する履行期の翌日から引渡済まで商事法定利率年六分の割合による金員の支払を請求する。

第一審原告らは、本件銅屑を清田らに対する貸金の担保として、債務不履行の場合には直ちに所有権が移転する旨の代物弁済予約契約に基づき右清田らから受領し、これを井上銅鉄商に寄託していたものであることは後記(三の1)のとおりであって、同所掲記の各証拠に照らせば、井上銅鉄商は第一審原告らが本件銅屑の引渡を受けこれを売却して弁済に充当する予定であったことを知っていたことが認められる。しかして、<証拠>によれば、第一審原告らは昭和四一年四月一三日大分市の株式会社島田商店に対し、本件と同種の銅屑をトン当り五三万五〇〇〇円で売却したことが認められるから、井上銅鉄商が速やかに本件銅屑を引渡していれば第一審原告らは同額で売却し弁済に充当しえたものと推定することができる。

そうすると、第一審原告らは本件において最終的に右銅屑の引渡もしくは填補賠償としての金員の支払を受け得たとしても、その履行が遅延したことによる損害として、それぞれ前記割合で売却しえた金額、第一倉庫については二九二万三七七五円、三和倉庫については八八万八一〇〇円に対する商事法定利率年六分の割合による金員の支払を求めることができると解すべきである。

よってこの点についての第一審原告らの請求は理由がある。

三、損害賠償請求について

1. <証拠>を総合すると、第一倉庫は、別表一の「貸付年月日」欄記載の日に、それぞれ清田進と共同して清田所有の同「担保物件」欄記載の銅屑について井上銅鉄商との間で計量契約を締結し、その計量の結果から算出した同「貸付金額」欄記載の金額(合計一八八八万九九四〇円)を同「借主」欄記載の借主に対し貸渡したこと、右銅屑(検量票上の重量合計五一・一九三トン)を代物弁済予約契約に基づき清田から受領し、同表1の担保物件(検量票上の重量一八・三三三トン)を三和倉庫に、同表3ないし6の担保物件(検量票上の重量合計三二・八六トン)を井上銅鉄商にそれぞれ寄託したこと、三和倉庫は、清田に対し、同じく別表二記載のとおり貸付(弁済を受けた五七万五〇〇〇円を差引き合計一九三三万〇三〇〇円)して担保物件(実量で返還した二・三トンを差引き検量票上の重量合計六二・〇三七トン)を受領し、同表5の担保物件(検量票上の重量一〇トン)を井上銅鉄商に寄託したこと、及び債務者らは右各債務の弁済期をいずれも徒過し回収の見込みはないことが認められ、右認定に反する証拠はない。

2. 右事実によれば、井上銅鉄商は第一倉庫のため三二・八六トン、三和倉庫のため一〇トンとされている銅屑を保管していたものというべきであるところ、前記寄託を受けたことに争いない量の銅屑が現実に存在していたものと認められるから、検量票上の重量からすると、第一倉庫分については二七・三九五トン、三和倉庫分については八・三四トン不足していたことになる。また三和倉庫は七〇・三七トンとされている銅屑を保管していたものであるところ、成立に争いない甲第一九ないし第二九号証によれば、昭和四一年二月二三日現在二二トン(成立に争いない甲第四八号証の一ないし一一によれば、同年三月一一日現在二一・九一トン、前掲甲第三一号証の一ないし四によれば同年四月一二日現在二一・八七トンの銅屑が存在していたことが認められ、三和倉庫が現実に保管していた銅屑の量はほぼ一致している。)しか存在せず、検量票上の重量からすると四八・三七トン不足していたことが認められる。第一審原告らは第一倉庫分一三・八〇九トン三和倉庫分三九・一九七トン、合計五三・〇〇六トンの銅屑が不足していたと主張するが、これを認めるにたりる証拠はない(なお三和倉庫保管中の銅屑の不足分の第一倉庫、三和倉庫の按分については後記のとおり判断しない。)。

3. しかして右のとおり三二・八六トンあるべきものが五・四六五トン、一〇トンあるべきものが一・六六トン、七〇・三七トンあるべきものが二二トンしかなかった原因が、清田進とその一味の者の不法行為、すなわち井上銅鉄商に本件銅屑を搬入する際、あらかじめ計量器本体と計量板との間の地下溝内に潜入待機しておき、井上銅鉄商側で計量前の零点調整をした後に銅屑を積載したトラックが計量板上に乗る頃を見計らって潜入者が約二〇キログラムの錘を右地下溝内を通っている連結杆にかけ、計量器本体に実量を大きく上廻る誤指示値を表示させ、銅屑をおろしたあとの空車を計量する前に右錘をとりはずすという方法をとったため、井上銅鉄商が右誤指示値から空車の重量を差引いた量を検量票に記載したことによるものであることは、当事者間に争いがない。

4. 第一審原告らは、井上銅鉄商は計量証明の事業にたずさわるものとして、右各計量につき清田らの不法行為を未然に防止し、かつ早期に発見して計量の正確を期すべきであったのにこれを怠り第一審原告らをして右不足分の担保物件を取得しえなくさせ、右担保物件相当額の損害をこうむらせたと主張するので、以下先ず井上銅鉄商の過失の有無について検討する。

(一)  計量器の設置及び管理の瑕疵について

第一審原告らは、井上銅鉄商は計量証明の事業を適確に遂行するにたる人的物的設備をすることが要求され、監督官庁からその旨の行政指導を受けているにもかかわらず、国道三号線沿いにある本件計量器設置場所に門扉、外柵を設けず、誰でも自由に出入りすることができるような状態のままにしてあったし、地下溝への出入口の施錠もなく、また看視も不十分で容易に清田らの一味の者の地下溝への潜入を許したと主張する。

なるほど原審及び当審(いずれも第一、二回)における検証の結果によれば、本件計量器は井上銅鉄商の構内、国道三号線の西端から東へ一〇メートル入ったところに設置され、国道から計量器までの間には、塀、門扉等の設備はなく、また計量器の地下溝上の鉄製蓋には施錠されておらず、右蓋を持ち上げれば地上から人が容易に地下溝内に入ることができる状態であったことが認められる。しかしながら、<証拠>をあわせ考えると、特に井上銅鉄商だけに門扉の設置、施錠等をなすべき義務(ちなみにこれらを設置すべき法令上の根拠はない。)及び第三者の不法行為を予想して看視を強化すべき義務を負わせるのは相当でなく、この点に井上銅鉄商の過失を認めることはできない。

(二)  零点調整を反覆しなかったことについて

検証の結果によれば、本件計量器は零点調整をする装置があるはかりであることが認められるから、計量法上その零点を調整した後でなければ取引上又は証明上の計量に使用してはならないことは明らかである。しかしながら、右計量法の規定も一件の計量のなかで反覆して零点調整を行うべきことまで義務づけているものではなく、井上銅鉄商が本件各計量に際し先ず零点調整をしたうえで計量に着手したことは当事者間に争いがないから、たとい第一審原告ら主張のとおり、井上銅鉄商において空車を計量するときには零点調整をせず、先に銅屑を積載したトラックを計量したまま固定してあった分銅をその位置から動かして計量していたとしても、その計量方法が適切であったかどうかは別として、これをもって計量業者としての注意義務に違反したものと認めることはできない。

(三)  目測で重量の差を発見すべきであったことについて

本件検量票上の銅屑の量と現実に存在した量との差は先に認定したとおりであって、全体として二五・七二パーセントしか存在していなかったことになる。第一審原告らはこの量の差は専門業者として一見して発見しうる筈であり発見しえなかった点に井上銅鉄商の過失があると主張する。

ところで、右過失の前提となる注意義務の程度は、清田らの不法行為が発覚し、詐欺被告事件として審理された過程で明らかになった事情を基礎とするのではなく、本件発生当時の業者としてのそれであることはいうまでもない。しかして、<証拠>を総合すると、昭和三五年末から同四〇年末にかけて、東京都板橋区在駒井計量所ほか二〇社において銅屑の水増計量が行われ、その地域も一二府県に及んでいること、水増の手口には、トラックをすりかえるもの、計量器の地下設備部分に特殊の装置をほどこしておきこれを操作するもの、計量板の小穴から鉄棒をさしこみ、地下の連結杆を押し下げるものなどのほか、右駒井計量所においては五回、愛媛県宮窪町在四阪島製練所においては二回にわたり本件と同一手段による計量器の不正操作が行われていること、茨城県日立市在日立鉱業所においては約二か月の間に二〇件もの被害にあっていることが認められるのであって、これらの各計量所も右のような犯罪行為を発見できなかったものと推定することができる。また井上銅鉄商は、これまでこのような詐術を経験したことはなく、特にこのような事例を防ぐよう指導されたこともなかったこと、本件計量器は計量法にしたがい定期的に検査を受けていることが認められること、及び一般にこのような犯罪行為を予見することは不可能であることをあわせ考えると、計量業者として計量器の表示を信頼することはむしろ当然のことであるから、井上銅鉄商が計量したとおりの量が存在すると信じ、現実に存在する銅屑が僅少であることを疑ってもみなかったことも十分に首肯しうるところである。結果的に量が少いということが判明したからといって、井上銅鉄商が目測でこれを発見しえなかった点に過失があるということはできない。<証拠判断省略>

(四)  別表一の6、同二の5の取引について

第一審原告らは、別表一の6、同二の5(同三の10も同じ)の取引の際、計量器不正操作についての新聞記事を読んだときに清田らの犯罪行為を発見すべきであったと主張するが、前掲各代表者尋問の結果及び成立に争いない乙第一九号証によれば、井上増巳及び高橋春治は右新聞記事を読んで清田に確認し、清田から電動式の計量器でなければこのような不正操作はできないという趣旨の回答を得て納得したことが認められるのであって、井上銅鉄商にのみさらに調査を尽すべき義務を認めるのは相当でない。

5. 以上の次第で、井上銅鉄商には本件計量につき過失はなかったものというべきで、債務不履行、不法行為のいずれの観点からもその責任を問うことはできない(第一審原告らは、検量票は無形的製造物でその瑕疵については無過失責任を負うべきであると主張するが、右は独自の見解であって採用し難い。)。

よって損害賠償請求は、その余の主張事実について判断するまでもなく失当として棄却を免れない。

四、当審における新たな請求について

1. 請求原因四の1、及び同2の仮差押命令申請取下の日を除く事実は当事者間に争いがない。

2. 第一審原告らは、井上銅鉄商が右保証金に対し権利行使をしたことが不法行為に該当し、そのために供託金を取戻すことができなくなったことによる損害を賠償すべきであると主張するが、保全処分において、債権者である第一審原告らが担保取消決定申立をしたとき、担保権利者である井上銅鉄商がこれに同意せず、権利行使をすることは制度上認められていることであって、井上銅鉄商の権利行使が特に第一審原告らを害するためになされたなどの特別の事情がない限り(この点についての主張立証はない。)、右権利行使が不法行為に該当するものと解することはできず、この場合供託金の取戻が遅延してもその損害は供託法所定の割合による金員の支払をもって填補されるものと解すべきである。

よって当審における新たな請求はその余の事実について判断するまでもなく失当として棄却を免れない。

五、結論

そうすると、第一審原告らの本訴請求は、寄託物の返還とその履行不能のときの填補賠償及び右返還が遅滞したことによる遅延賠償を求める部分は正当として認容すべきであるが、その余は当審における新たな請求を含め理由がなく棄却すべきであって、これと一部結論を異にする原判決はその部分については失当である。

よって第一審原告らの控訴は一部理由があるから、右控訴に基づき原判決を変更することとし、当審における新たな請求は理由がないからこれを棄却することとし、第一審被告の控訴は理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法第九六条、第九二条本文を、仮執行宣言について同法第一九六条を各適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 佐藤秀 裁判官 篠原曜彦 大城光代)

<以下省略>

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